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『スクリプトドクターの脚本教室・初級編』を読んだ

スクリプトドクターの脚本教室・初級篇

スクリプトドクターの脚本教室・初級篇

読むきっかけ

ライムスター宇多丸のラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』で著者が出演していたのがきっかけ。その時の特集が以下の2つ。

そして、映画がどのような”構造”になっているのか、それを脚本でどのように表すのかということが気になったので読んだ。

簡単な内容

ストーリー作りとは、実は“自分”探し!? 
日本に数人しかいない“脚本のお医者さん”=“スクリプトドクター”で、 
映画監督・脚本家・心理カウンセラーの三宅隆太(みやけ・りゅうた)による、 
ストーリー作りのためのかつてないガイドブック初級篇!!

新書館 | 書籍、コミック 詳細ページ | スクリプトドクターの脚本教室・初級篇 より引用

前半部分ではなぜ脚本が書けないのかを著者が講師として多くの生徒とクライアントを見てきた経験から書いている。そして後半はスクリプトドクターとはどのような仕事なのかを解説する本となっている。

感想

この本は自己啓発本

最初にこの本を読み進めている時は最初自己啓発本かと思ってしまった。
なぜなら、映画では主人公が「殻を破る」必要があるからである。ここでいう「殻を破る」とは物語の中で苦手ものを克服するだとか、苦難を乗り越えるだとか、新しい自分に生まれ変わるというような意味合いである。
例えば、2012年にアカデミー賞を受賞した『英国王のスピーチ』を例にとってみよう。『英国王のスピーチ』は吃音症の主人公が大事な演説を失敗したところから始まる。何度も治療を受けるがなかなか吃音症が治らない。そしてある治療によって吃音症を克服し、最後は演説を成功させる。お話の中心を切り取るととても単純な話である。ここで「殻を破る」とはもちろん失敗した演説を成功させることである。脚本家自身もこのような経験をしていたほうが作品を書くうえで自分の体験を抽象化し別の出来事に当てはめることができれば、違う物事を「殻を破る」ように描くことができやすいであろう。ここで問題になっている吃音症をスピリチュアルなものに置き換えれば私はこれを克服することで人生変わりましたという作品は作れてしまう。
よって、この本は自己啓発の仕組み(方法の)1つを書いており、その自己啓発をしろと言っているように読めてしまう。なのでこの本は最初自己啓発本なのかなと思ってしまった。

スクリプトドクターはシステム屋さんと同じでは?

スクリプトドクターは本当に求めるられる能力は映画でなにを描きたいのかをクライアントから聞き出し、今の脚本のどの部分がおかしいのかを突き止める能力である。この本を読んでいるとこの能力はシステム開発でも同様に求められると思った。例えば、お客さんがある業務の中で困っていることを自動化したいと言ったとする。システム屋はその話を聞いて、ではシステム化しましょうと言ったとする。そのとき、お客さんが困っているのは、業務フロー自体が複雑であり無駄なことをしないといけない。業務フローを改善するためには今の問題を解決するのではなく業務フロー全体を見直す必要があったりする。その部分を診断ができてシステム開発ができる人はとてもいいシステム屋になれると日頃から思っている。だから、スクリプトドクターはまさにいいシステム屋さんのような人だろうと読み替えてこの本を読むことができた。決して映画の脚本を書こうと思っている人だけではなく、より抽象的な事柄を扱っているので多くの人におすすめができる本である。

映画に興味ある人、自己啓発に興味ある人、なにか作品を作ろうとしている人にオススメです!!!

スクリプトドクターの脚本教室・初級篇

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