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映画『悪の教典』感想

新宿バルト9で鑑賞。

原作既読、ドラマ版の「悪の教典序章」は見ずに(見れない)鑑賞してきました。

 

あらすじ

 

不良生徒やモンスターペアレント、集団カンニングに、淫行教師などの問題を抱える東京都町田市の私立高校につとめる蓮実聖司は、有能で人気者だが裏では自分に都合の悪い人間を次々と殺害していくサイコパスであり、一部の生徒から疑われ始めていた。

文化祭の前日、蓮実は邪魔になった女生徒を自殺にみせかけて始末しようとするが、手順が狂い殺人の嫌疑がかかりそうになる。それを覆い隠すため出し物の準備のため校舎に泊り込んでいたクラスの生徒全員を同僚の教師の仕業に見せかけて散弾銃で皆殺しにしようとする。こうして一夜の血塗れの大惨劇が始まった。(Wikipediaより)

 

http://www.akunokyouten.com/index.html

 

以下ネタバレあります。

 

・映画全体について

この映画は構造として、前半と後半で大きく分かれています。前半がクラスメイトをお映し学校生活を身近に感じさせる話と、蓮実という人物が周りから信頼されている、とてもいい教師であるということが映されています。そして後半では、身近であった学校生活を信頼していた教師によってぶち壊されるという話です。

この映画は全体で約2時間あるので、CMなどでフックになっていた殺戮シーンまで1時間あります。そのせいで最初のつかみがとても長いのかな。30分前後ぐらいで、火事が起きるのがあるのですが、蓮実の仕業であるというのがわかりにくいのでつかみにならないのかなと。

 
・蓮実(伊藤英明)について
水道橋博士もとある番組で発言していましたが、蓮実と聞いて蓮實重彦を思い起こさせるのは何か意図があるのでしょうか。

 

そして自分はこの蓮実を見て、『ダークナイト』のジョーカーを思い出しました。蓮実はジョーカーよりもやるときはやるというのを行動で見せたのでとても印象には残りました。まあやっていることが違うので一概に比較できないですが。

この映画では小説にある蓮実の心情表現をほとんどカットしているので蓮実がなにを考えているかわからない。例えば屋上で安原美彌を自殺にみせかけて屋上から落としたあと、安原美彌を気にかけて屋上まできた生徒を蓮実は殺してしまう。そしてそのあとなにもセリフがないまま次の行動を起こす。小説であれば蓮実の心情を描き、「まずいことになった、この場面をどのように切り抜けるか」ということを考える説明がつく。しかしこの映画ではとことん蓮実がなにを考えているかわからない人物とすることで、とても怖い印象を与えることに成功したとおもいます。その結果後半の皆殺しシーンではずっと暗かった画面が電飾などで明るくなり、少しポップな音楽が流れ、笑顔を見せながら散弾銃をぶっ放す蓮実がとても怖いです。そして、怖く描くことに成功したおかげか、ところどころギャグシーンがありますが、場内で笑い声は聞こえませんでした。どうして殺そうとしたのかを描くならもっと蓮実の背景を描き、こいつならこの状況をこのように切り抜けるだろうと予測させる必要があるので、映画の2時間という尺ではとても難しいのかなと。1クールのドラマ版を見てみたいと思ったが、このようなR15指定は今の世の中作れるのかなあ。あとせっかくR15指定なのでエロ要素増やしてくれよと思った原作既読の人は多そうだなとか思ったんだけどどうなんだろう。

 

・ラストのオチについて

せっかくここまで蓮実を何を考えているかわからない、そしてやばいやつだということが印象付けられたのに、もったいないと思った。確かにこの映画のオチでもさっきまで人殺しをしていたのに、生存者が2名いるということを知った蓮実は泣きながら生徒を褒め称える。これでも十分異常であると思えるがもっとヤバイやつだということを印象付けられるのではないか。それは蓮実が警察相手に事情を説明して1通り説明が終わってうまくいったと思った時に生存者に報告を聞かせる。そしてそれに驚く素振りを全く見せない蓮実を映すことによってこいつは精神異常者ではないのかと印象付けることができたのではないか。そうすれば最後の最後の神の啓示に従ったということも本当にそうであるかのように映るのではないかなあ。

 

全体としておもしろかったし、いい映画だと思ったがグロとかホラーとか苦手なのでもう一度映画館で見ることはないかなあ。

 

あと中二病にありがちなことで、授業中暇な時に、考えることで、「学校にテロリストが突入してきたらどうしよう」というのがあると思うが(もしかして自分だけ?)、そのような人にはその中二病の夢が実現したような映画でもあります。そのような人にはとてもオススメです。